種無しぶどうにするために
ベランダで育てているぶどうも、ある処理を行うことによって種なしぶどうにすることが可能です。
受粉時に作用する植物ホルモンであるジベレリンを薬剤のように外から与えてやることで、受粉を起こさずに果実を肥大させることが可能になります。受粉が起こっていないため、ふくらんだ果実のなかに種が作られないのです。
ジベレリン自体は農薬のように、ホームセンター等で市販されていて、誰でも購入が可能です。
ジベレリンの処理はタイミングが重要で、失敗すると種なしぶどうにはなりません。ぶどう栽培初心者には多少ハードルが高いので、ぶどう栽培に慣れてきたらチャレンジしてみるのがよいでしょう。
種無しぶどうへジベレリン処理のポイント
合計で2回の処理が必要です。ぶどうの品種によってタイミングが異なりますが、花が満開になる前後で2回のジベレリン処理が必要になります。
大きめのカップに規定の濃度にしたジベレリン溶液を入れ、花房をまるごとジベレリン溶液にひたすようにして処理します。1房ごと丁寧に、房全体がしっかりと薬液に漬かるように作業しましょう。
家庭菜園レベルなら、空になった2リットルのペットボトルを容器として使用すると大きさがちょうどよく、便利です。
品種ごとに処理のタイミング、ジベレリン溶液の濃度は異なる
ぶどうの品種によってジベレリン処理をするタイミング、処理に必要なジベレリン濃度は異なります。
例えば、デラウェアの場合、1回目の処理は満開の14日前に、100ppmの濃度で行い、2回目の処理は満開の10日後に75ppmの濃度で行います。
ところが、シャインマスカットの場合は、1回目の処理は満開~満開3日後に25ppmの濃度で行い、2回目の処理は満開の10日後に25ppmの濃度で行います。
このように品種ごとに処理時期、薬液濃度が異なるため、購入したジベレリンの説明書きをよく読むか、販売元のホームページなどで情報を確認するなどして処理を行うようにしましょう。
また、ジベレリンの商品ごとに濃度や含有量が異なるため、説明書きに希釈の計算方法が載っていることが大半です。しっかりと目的の濃度になるよう、説明書きを参考にしながら希釈を行いましょう。
ジベレリン処理の注意点
ジベレリン処理後は、薬液で濡れた花房がそのまま乾くことが必要です。雨が降ってしまったら、十分にジベレリンが作用する前に薬液が洗い流されてしまうため、処理が成功しません。
そのため、ジベレリン処理後、花房が乾く前に雨が降ってしまった場合は再処理が必要になります。処理の適期のうちに、天気予報と相談しながらジベレリン処理を行う日を決めましょう。
種無しぶどうの摘粒
ジベレリン処理と併せて行いたいのが摘粒の作業です。
ぶどうは、1房に多すぎるほどの粒をつけるのがふつうです。1房あたりの粒の数を制限することで、1粒1粒に十分に栄養が行き渡るようになり、1粒が大きく育ちます。また、どの粒を残すのかをコントロールできるため、摘粒には房の見栄えをよくするという意味合いもあります。
摘粒は2回に分けて行うのが一般的です。1回目の摘粒は2回目のジベレリン処理を行う前、2回目の摘粒は粒が十分に大きくなる頃合を見計らって行います。
1回目の摘粒では、全体の粒数を制限します。品種による部分もありますが、一般的に1房あたり30粒程度になるよう、粒を制限します。このとき、房の上の方に粒を多く残し、房の下の方は粒を少なくして、房全体が逆三角形になるように仕上げます。こうすることで、粒が肥大する過程で隣接する粒と押しあうことを避けられます。
2回目の摘粒では、房全体の様子を見ながら、粒が混み合っている場合には小さい粒を落とします。