灰色かび病の症状
灰色かび病は、ほぼすべての植物に発生の可能性がある病気です。発症すると、花や葉、茎、実に水がしみたような模様が現れ、それが徐々に褐色に変化していきます。さらに進行すると模様が広がり、株全体が灰褐色のカビに覆われて枯れてしまいます。柔らかい部分から発症することが多いため、苗や実りたての野菜には注意が必要です。
発生時期は3月から12月と、真冬を除き1年中発生の可能性があります。湿度が高く、気温が20度から25度の時期に発生しやすくなるので、4月から7月、10月から11月は特に注意が必要です。真夏には発生頻度が下がります。
灰色かび病は、空気感染や、アブラムシやハチなどの虫による媒介で広がります。枯れた植物の上でも生き続けることができるため、発症して枯れた株を処分せずにしておくと、そこから感染することもあります。
灰色かび病の原因
灰色かび病は、ボトリチス菌というカビが原因で起こります。空気中を浮遊するボトリチス菌が土に侵入し、菌核という小さい塊になります。そのままの状態で、活動に適した環境になるまで潜伏し続けます。活動できる環境になるまでは、何年でも土の中に留まることができます。腐敗菌のため、腐ったり枯れたりした植物にも寄生し、繁殖することができます。
ボトリチス菌は、病気などで弱ったり、傷がついたりした部分から侵入してきます。低温で、風通しが悪く湿った場所では、特に活発になります。
灰色かび病の予防
灰色かび病を予防するためには、菌が好む環境を作らないことが大切です。植え付けの時には、株を密集させないこと、水はけのいい土を使うことなどを心がけます。生育中は、葉が混んできたら剪定する、水を与えすぎない、雨の日が続いたら軒下に避難させるなどの対応をしましょう。窒素肥料を過剰に与えると葉が茂りすぎてしまうので、適量を守ることも大切です。
ボトリチス菌は、元気で傷がない株には入り込むことができません。植え替えや剪定などで株に触れる時は、株に傷をつけないように注意しましょう。また、しおれた花や葉は早めに取り除き、取り除いたものは土の上に放置せず処分するようにします。
虫による感染を防ぐためには、防虫ネットや寒冷紗も効果的です。寒冷紗は、保温性は高いのですが高温時に使うと蒸れやすいので、季節に応じて防虫ネットと使い分けるといいでしょう。
接ぎ木苗や耐病性のある苗を使うことも予防になります。
灰色かび病の治療
灰色かび病は、完治させることが難しい病気です。初期の段階であれば、カビに侵された部分を取り除くことで対処できます。土の中に菌が潜伏している可能性があるため、発症を確認したら土を取り替えることが理想です。土が取り替えられない場合は、カリグリーンやダコニールなどの薬剤を散布して、感染を防ぎます。これらの薬剤は、予防としても使用できます。ただし、長年にわたり同じ薬剤を使い続けると、菌に耐性ができてしまいます。いくつかの薬剤をローテーションで使うようにしましょう。
カビに覆われた部分が大きく、取り除くことが難しい場合には、株を引き抜いて焼却処分にします。再発を防ぐために、土も再利用せず処分してしまいましょう。使用した園芸道具の消毒も忘れずに行います。感染した株から採取した種をまくことも避けましょう。