センチュウの基本情報
センチュウとは、細い糸のような透明な体をもつ虫です。種類がたいへん多く、数万種類以上とも言われています。野菜に害を及ぼすセンチュウだけでも、100種類以上います。生息場所もさまざまですが、家庭菜園では土の中に生息するネコブセンチュウやネグサレセンチュウに注意が必要です。これらのセンチュウは、トマトやナス、サツマイモ、ダイコンなど多くの野菜に寄生しますが、ジャガイモシロシストセンチュウや、ダイズシストセンチュウなど特定の野菜にのみ寄生するものもいます。土の中にいることに加え、体長が0.3mmから1mmとたいへん小さいため、肉眼で確認することはできません。
土の中には多くの種類のセンチュウがいますが、すべてが植物に害を与えるわけではありません。それどころか、センチュウのほとんどは、有機物を分解し、微生物の働きを助ける益虫です。これらのセンチュウは、自活性センチュウと呼ばれます。自活性センチュウが多い土では、害虫である寄生性センチュウの働きが鈍くなるため、株への被害が出にくくなります。連作などで土の栄養バランスが乱れると、寄生性センチュウが活発に動き始めます。
センチュウによる被害
寄生性センチュウは、根の栄養分を吸収して根を腐らせたり、根に卵を産みつけたりします。根の働きが鈍くなることで、地上部にも影響が現れます。株の管理に問題がない、株に害虫がついていないにも関わらず、葉がしおれたり、株に変形が見られたりする場合はセンチュウの被害を疑いましょう。株を掘り起こしてみて、根が黒く変色していたり、根にコブができていたりしたらセンチュウのしわざです。ただし、根にコブができている場合、根こぶ病の可能性もあります。根こぶ病は、根の上の方に大きいコブができる病気です。センチュウによるコブは、根全体で、コブのサイズも小さいです。対策方法が異なるので、間違えないようにしましょう。根が被害を受けると養分を吸い上げる力が弱まるため、放っておくと株がぐらつき始め、最悪の場合枯れてしまいます。
センチュウの被害は、3月から10月にかけて起こりますが、梅雨の時期には特に注意が必要です。土の中で越冬するため、一度被害が出た土は翌年以降も被害が出る可能性があります。卵を大量に産み、あっという間に繁殖するため、被害が広がりやすいことも特徴です。
センチュウの予防・駆除
センチュウは目に見えないため、人力での駆除が難しい害虫です。このため、数を増やさないようにすることが大切です。センチュウの被害を避けるためには、土の栄養バランスを正常に保つように心がけましょう。連作障害がある野菜は、連作することで土中の栄養バランスがどんどん崩れていきます。センチュウが苦手なマリーゴールドを植えることで、数を減らすことができます。
センチュウの被害を受けた株は、残念ながら回復しません。すぐに引き抜き、焼却処分しましょう。株の処分に使った園芸道具は必ず消毒します。また、土の中にセンチュウが残っている可能性があるので、同じコンテナ内の株は、被害がなくてもすべて植え替えましょう。土は日光や農薬で消毒することもできますが、すべてのセンチュウを駆除することは困難です。生き残ったセンチュウが再度繁殖してしまう恐れがあるため、一度被害が出た土はなるべく使いまわさないようにしましょう。