植物の病気とは
植物は生き物です。栽培の温度や湿度が適切でなかったり、土中の環境が乱れたりすると簡単に病気になってしまいます。野菜の中には、品種改良がすすんでいて、病気に強い耐性を持つものも少なくありませんが、それでも絶対に病気にかからないというわけではありません。野菜を健やかに育てたければ、害虫対策と合わせて、病気対策は避けては通れないものです。
野菜の病気は、株のさまざまな部分に発生し、症状もさまざまです。病気によっては症状を見つけにくいものや、どの病気なのか見分けがつきにくいものがあります。野菜の栽培を始める前に、植え付けや種まきの適期や生育適温、肥料の与え方などその野菜に関する情報をよく調べ、それらを守って栽培するようにしましょう。加えて、育てる野菜がかかりやすい病気を知っておけば、病気の特定が早くでき、被害を最小限に食い止めることができます。
病気が発生する条件
多くの病原菌は、害虫と同じように日当たりの悪い湿った環境を好みます。特に、カビが原因で発症するべと病、葉かび病や灰色かび病は、梅雨から夏にかけてのジメジメした時期に発生しやすくなります。長期間雨にうたれていると土が常に湿った状態になり、病原菌が繁殖します。さらに雨が土を跳ねあげることで、土中に潜む病原菌が跳ね上がり、株に付着してしまいます。
多くの植物がかかるうどんこ病もカビが原因で、梅雨の時期に発生しやすいのですが、原因は多湿ではなく乾燥です。水はやり過ぎてもやらな過ぎても病気が発生しやすくなります。土や株の状態をよく見て、適切なタイミングで水を与えられようにしましょう。
おいしい野菜をたくさん収穫するためには、肥料は欠かせないものですが、肥料のやり過ぎもまた病気の原因となってしまいます。根が一度に吸収できる肥料の量は決まっています。吸収できるよりも多くの肥料を与えると、肥料が土の中にとどまり続け、害虫や病原菌の餌となってしまいます。肥料が少なくても生育に問題が出るため、常に適量を与えられるようにしましょう。不安な場合は少なめに与えて、植物の様子を見ながら足りない分を追加していきましょう。
病気の予防
植え付けの適期を守るだけでも病気の可能性は減らせます。さらに株を整理して風通しを良くすること、水や肥料の適量を守ることも立派な病気予防になります。
植え替えや剪定の際に植物を傷つけないことも大切です。株を傷つけるとそこから病原菌が入りやすくなります。雨の日に剪定を行うと、切り口に水が溜まりやすくなり、カビが生えやすくなります。茎自身から出る液で切り口が腐ってしまうこともあるので、剪定の際の気候や切り方にも注意する必要があります。
病原菌の繁殖を避けるためには、消毒も有効です。野菜の栽培が終わった古い土は、直射日光に当てて消毒してから再利用しましょう。水をかけて湿らせた土を黒い袋に入れて袋の口を縛り、ときどき裏返しながら日光に1週間以上当てることで消毒ができます。さらに、園芸バサミやシャベルなどの園芸道具も消毒を行うことが理想です。使用後に土をきれいに洗い流し、しっかり乾燥させてから保管するだけでも十分です。植物同様に、園芸道具も大切に扱いましょう。
植物が病気になったら
葉や花、実が病気にかかったら、病気の部分をなるべく早く株から取り除くことが重要です。取り除いてもほかの部分が病気になってしまう、取り除けないほど病状が進行してしまっている場合には、病気に合わせた治療薬が市販されているので、それを利用して完治させましょう。人体への影響が少ない治療薬も売られています。遅くなればなるほど病気が進行してしまうので、ぜひためらわずに使用しましょう。