葉に殺菌力と抗感染力があり、オーストラリアの先住民アボリジニが万能薬として使用していたことが知られているティーツリーです。化粧品や石鹸に配合されていたりエッセンシャルオイルとして広く利用されています。フトモモ科の常緑樹でコニファーと雰囲気が似ていますし、香りも涼やかです。一鉢でスタンダード仕立てにしても寄せ植えにしても、どちらでも見栄え良く使い勝手も良いハーブです。
目次
ティーツリーの品種
ポピュラーなのは「アルテルニフォリア」という品種です。緑の細葉に白いふわふわした綿のような花が咲きます。独特な鼻に抜ける香りはこのアルテルニフォリアです。耐寒性があり関東以南なら越冬作業はいりません。「ボリューションゴールド」は葉がゴールドです。花が咲きにくく寒さにやや弱いので上級者向けです。新芽が真っ赤な「レッドジェム」は気温が下がってくるとさらに紅葉して美しいのですがやや寒さに弱いです。
ティーツリーの栽培時期
開花期は4月から6月ぐらいです。
植え付けは3月中旬から9月中旬ごろまでですが、真夏は避けましょう。
肥料は生育期間中与えます。
剪定は花後の5月から7月ごろにします。
ティーツリーのプランターと用土
プランターが大きければ大きいほど草丈が伸びます。草丈を通り越して樹高2メートルにもなることがあります・・・地植えでなければコンパクトに育てたほうが良さそうです。目安は6号鉢(直径18センチ)で50センチぐらいの高さに育てられます。
用土は水はけの良さがポイントです。赤玉土6:腐葉土3:軽石かパーライト1の配合が良いでしょう。市販の草花培養土なら軽石を少し混ぜておくと無難です。
ティーツリーの植え付け
種蒔き
発芽してある程度の大きさになるまで半年ぐらいかかる長期戦です。3月から6月ぐらいに細かい用土にばらまいて土はかぶせないようにします。水やりがちょっと手間ですが、霧吹きで種が飛ばないように水やりをするか、水を張った容器に鉢ごと浸ける腰水です。いずれもラップなどで覆って常に湿らせておかないといけないので、カビをはやさないように半年間頑張ります。市販の苗を植えた方が簡単ですね・・・
苗の植え付け
植え付け時期は3月下旬から6月中旬の梅雨入り前ごろまでが適期です。ポット苗よりも1回りぐらい大きな鉢に植え付けましょう。株が慣れるまで水やりを少し多めにします。
ティーツリーの置き場所
日当たりと水はけが良い場所に置きましょう。乾燥しすぎると落葉しますがあまりにも水が抜けないのも弱ります。鉢の下に水がたまらないようなところがよいでしょう。風が強すぎないところが向いています。
関東以南ではベランダで越冬できます。ただ、品種によっては葉が傷みやすくなるので霜が降りる頃には軒下に移動しましょう。
ティーツリーの挿し木と植え替え
挿し木で増やす
4月から9月に挿し木で増やしましょう。枝の先端を10センチぐらいに切って、半分から下の葉を落とします。1時間ほど水揚げしたら用土に挿して、乾燥しないように水やりしながら日陰に置きましょう。用土はバーミキュライトなどでOKです。1か月ぐらいで根が出るので、根が増えてきたら他の鉢に植え替えても良いです。挿した木は触って動かしたりしないようにしましょう。
植え替え
寒さには少し弱いので、秋以降に植え替えたりしてはいけません。遅くても9月下旬までに済ませましょう。一番良い時期は3月から梅雨入り前ぐらいまでです。やや成長が早いので2年に1回程度、鉢の下から根が出ていたり水はけが悪くなって来たら植え替えましょう。一回り大きな鉢に替えればよいです。
ティーツリーの水やりと肥料
土の表面がきっちり乾いたらたっぷり水やりをします。茂るほどに水切れを起こしやすくなるので、土の乾き具合と株の様子を観察しましょう。カリッと乾いて葉に元気がないときには、霧吹きか蓮口付きじょうろで株の上から水をかけましょう。
肥料は生育期の前半に与えます。芽の活動があるのは3月下旬から8月上旬までで、この時期を施肥の基準とします。株元に緩効性肥料を2か月に1回ばらまくか、液体肥料を2週間に1回程度水やり代わりにやりましょう。
ティーツリーの支柱立てと剪定
支柱立て
生育が良いとどんどん枝を伸ばすのですが細いです。枝の細さで風に耐えられないなと感じた時には支柱を立てましょう。必須ではないので、環境に応じて作業すると良いですね。
初夏の剪定
花が終わった後にすぐ剪定します。枝葉ともによく伸びるので茂りすぎることがあります。幹に日が当たるように込み合った枝を剪定してやります。強剪定にも耐えるティーツリーは少々刈り込み過ぎても大丈夫です。スタンダード仕立てなどお好みの樹形にもしやすいです。毎年5月から8月上旬を目安にしましょう。
ティーツリーの病害虫対策
病害虫はあまりありませんが、風通しが悪くなるとカイガラムシが発生することがあります。真っ白でぷっくりした「なにか」が幹や枝についていたら割りばしやブラシで即こすり落としましょう。薬剤は幼虫にしか効果がないと思った方が良いので、とりあえず割りばし攻撃です。薬剤を使ってしまうと葉を利用できませんし・・・
ティーツリーの育て方のポイント
剪定の時期が遅れると翌年の花が咲きません。花芽を切り落とさないためにもできるだけ7月いっぱいに終わらせましょう。
肥料は少なめに管理します。水やりも株と用土の様子をよく見て、過湿にならないようにしましょう。
植え付けてから3年ぐらいは株が弱りやすいので、剪定以外の収穫はしないようにしましょう。
ティーツリーの収穫と活用法
収穫は剪定時期が目安です。9月以降に枝を切り取ってしまうと翌年の花芽がなくなってしまう可能性があります。
ティーツリーの効能は何といっても殺菌力と抗感染力の高さです。少し前に話題になったMRSAのような薬剤耐性菌にも有効です。ティーツリーの精油ではなく、ここでは収穫したものの活用法を。
ティーツリーレモンなど飲用できる種類は、乾燥させてハーブティーにすると口内炎や咳に効果があります。飲みにくい時はレモングラスやミントをブレンドすると良いでしょう。一般的にティーツリーは飲用するよりも入浴やチンキとしての利用をおススメします。ドライの枝ごとバスタブに投げ込めば、殺菌効果でニキビの予防改善に効果的です。少しお湯で煮出してから足を浸けると水虫に効きます。部屋に吊るせば風邪予防、シューズクローゼットに入れればカビ予防になります。活用範囲が広いチンキの作り方は簡単です。ビンにティーツリーを入れてアルコールをひたひたまで入れて蓋をして2週間待ちましょう。できたチンキはバスタブでも洗顔にでも2滴3滴とお湯に垂らすだけです。