南米の草花でオレンジや黄色の蝶のような花弁を付けるナスタチウムは、日本では江戸時代から栽培されています。葉の形はハスのように丸く、花は金色に輝いて見えるため「金蓮花」と呼ばれています。鉢からこぼれるように咲くナスタチウムはコンテナやハンギングに最適なハーブです。

目次

ナスタチウムの品種

ポピュラーなナスタチウムは一重咲きで花色は朱色・オレンジ・黄色です。ホワリーバードという品種は赤からクリーム色で花弁にフリルが入ります。ジュエルチェリーローズという品種は半八重咲で花色が濃いチェリーピンクです。トロパエオラム・ミナスという品種は草丈が短めになるコンパクトなものです。他にも品種によって花色や伸び方に違いがあるものもあるので、いろいろ育ててみたいですね。

ナスタチウムの栽培時期

開花期は真夏と冬場を除いた4月から11月ぐらいまでです。種蒔きは年に2回、春と秋が可能です。目安は長袖1枚で快適に過ごせる気温の時期です。肥料も開花期と同じで真夏と冬場を避けた生育が旺盛な時期に与えます。熱帯の高地原産なので日本のような真夏の高温多湿と冬の寒さにはちょっと弱いのです。

プランターと土

65センチぐらいのプランターなら3株の苗が植えられます。生育が旺盛で盛り上がるように横に広がりながら育つので、どんな形のプランターでも見栄え良く成長します。枝垂れるような性質があり過湿を嫌うので、ヤシガラなどを使用したハンギング用の鉢も合います。直径30センチぐらいの円形なら2株から3株が目安でしょう。

用土は水はけと通気を重視します。市販の草花培養土やハンギング用土も良いですね。ハンギング用土は軽くて水持ちが良く、通気の良い配合になっています。自分で配合する場合は赤玉土6:腐葉土4がいちばん簡単です。ピートモスやパーライト(軽石)があれば、赤玉土5に対してピートモスとパーライト2ずつぐらいで混ぜても良いでしょう。緩効性の肥料を少し混ぜておくと生育が良くなります。

ナスタチウムの種蒔きと間引き

ナスタチウムの種はたっぷりの水に一晩浸けてから蒔くことがポイントです。発芽処理済みの種を購入した場合はそのまま蒔けます。植え付け予定のプランターに直播して乾燥しないように用土をかぶせて水やりします。少々詰め気味なぐらいに蒔いて、双葉が大きくなってきたころから間隔の狭いところと葉に元気がないものだけを間引きます。春蒔きした種は夏までにはどんどん花を咲かせるまでに成長します。秋蒔きの方が株の生育期間が長く充実するので、その分立派な大きさで花も多めに長く咲きます。

水やりと肥料

水の与え過ぎはひょろひょろのナスタチウムになってしまいます。多少乾燥気味に育てた方がしっかりした株になります。用土が完全に乾いてからたっぷりと水をかけるようにしましょう。葉の間隔が詰まって見ごたえのある株になりますよ。

肥料も少なめが良いでしょう。チッソ分が多いと花の付きが悪くなります。開花している時期に限定して週に1回液体肥料を薄めてあげましょう。

置き場所

通気の良い日向がナスタチウムには最適ですが、真夏の日差しには弱めです。強烈な日差しが当たる時期だけは半日陰に移動します。移動し忘れると夏バテしたように枯れますが、根が生きている場合にはまた秋口から成長を始めてくれます。耐寒性が少し弱めなので、霜や雪が当たらない場所に移動しましょう。株が凍らなければベランダなどの屋外でも越冬できます。秋蒔きの場合は明るい室内に取り込んだ方が良いかもしれませんね。室内の場合は特に通気に気を配りましょう。

ナスタチウムの害虫

ハダニとモグリバエが付くことがあります。ハダニは夏場の高温と乾燥で発生します。普段から株全体にかかるように水やりをすると予防できます。もしもついてしまったら葉の裏側に水をかけると良いのですが、裏側はかけにくいので市販の薬剤を使用する方法もあります。葉に白い曲がりくねった線が現れたらモグリバエが付いています。葉ごと切ってしまうことで除去しましょう。

ナスタチウムの増やし方

ナスタチウムは種蒔きと挿し芽で増やします。こぼれ種でもよく発芽しますが、念のため種は集めて一晩水に浸けてから蒔くようにするとさらに発芽率がアップします。

挿し芽も種蒔きと同じ春と秋にできますが、いちばん良く生育するのは梅雨時の6月です。茎を3節ぐらいに切ってした葉を取り、水はけのよい挿し芽用の土を用意して挿します。日陰に置いて乾かさないようにしていると2週間ほどで根が出てきますよ。

ナスタチウムの育て方 ポイント

日光によく当てて乾燥気味に管理します。夏は明るい日陰に移動し、冬は凍らない程度の軒下に入れましょう。

本葉が5枚程度になったら手で間引きしましょう。脇芽が出てこんもりとボリュームのある株に育ちます。梅雨明けごろに株元から3分の1ぐらいに切り戻すと過湿対策になりますし、秋からの花を増やすことにもつながります。

花が枯れて来たらこまめに摘み取るようにしましょう。種を取る場合は別ですが、枯れた花がらをつけたままにしておくと株の栄養がいつまでも取られ続けて弱ってしまいます。

ナスタチウムの活用法

ナスタチウムはエディブルフラワーの代表です。色鮮やかな花も葉も、生のままサラダに添えるとピリッとした辛みで食欲が増します。クレソンに似た味で、根はすりおろしてワサビ代わりにできますし熟す前の種は酢漬けや塩漬けにしておけば貯蔵もできます。葉にはビタミンや鉄分も多く含まれています。ビタミンCが豊富なので風邪予防にも活用できます。

ナスタチウムはトマトやラディッシュ・アブラナ科の植物のコンパニオンプランツです。アブラムシなどを防ぐ効果があるので一緒に植えたりそばに置くと良いでしょう。

関連記事

  1. ラークスパーの育て方【種から室内やプランターで栽培!】

    ラークスパーの育て方【種から室内やプランターで栽培!】

    コスモスのような繊細な葉に深いブルーやピンクの柔らかい花びらが印象的なラークスパーは、チドリソウとも…

    ラークスパーの育て方【種から室内やプランターで栽培!】
  2. ディルの育て方【室内やベランダでプランター栽培も】

    ディルの育て方【室内やベランダでプランター栽培も】

    羽毛のような柔らかく細い葉を茂らせ、黄色い小さな花を咲かせます。アジア原産で高さは1メートルほどまで…

    ディルの育て方【室内やベランダでプランター栽培も】
  3. ミントの育て方【室内やベランダで種から栽培・株分け方法】

    ミントの育て方【室内やベランダで種から栽培・株分け方法】

    ペパーミントにアップルミント、ミントと名前の付く種類を何種類知っていますか?ハーブの中でも種類が多い…

    ミントの育て方【室内やベランダで種から栽培・株分け方法】
  4. カモミールの育て方【種からプランター栽培!室内もおすすめ】

    カモミールの育て方【種からプランター栽培!室内もおすすめ】

    カモミールの名前はギリシャ語で「大地のリンゴ」という意味です。甘酸っぱいリンゴの香りがする白くて小さ…

    カモミールの育て方【種からプランター栽培!室内もおすすめ】
  5. ボリジの育て方【種から室内やプランターで栽培】

    ボリジの育て方【種から室内やプランターで栽培】

    鮮やかな青い星のような花をつけるボリジは地中海沿岸原産の1年草です。その青色は聖母マリアの衣を描くた…

    ボリジの育て方【種から室内やプランターで栽培】
  6. サフランの球根の育て方【プランター栽培・水栽培方法も】

    サフランの球根の育て方【プランター栽培・水栽培方法も】

    秋に地面からいきなり青紫色の花が開くサフランは高級食材としても知られています。食用として1グラムのサ…

    サフランの球根の育て方【プランター栽培・水栽培方法も】
  7. パセリの育て方【プランター栽培で室内で簡単!】

    パセリの育て方【プランター栽培で室内で簡単!】

    パセリは最も食卓に上がる機会が多くて知名度の高いキッチンハーブですね。南イタリアなどの地中海沿岸が原…

    パセリの育て方【プランター栽培で室内で簡単!】
  8. レモンバームと落花生の育て方【種からベランダでプランター栽培】

    レモンバームと落花生の育て方【種からベランダでプランター栽培】

    濃いイエローグリーンの葉のレモンバームは生育欲がとても旺盛です。セイヨウヤマハッカ属の多年草…

    レモンバームと落花生の育て方【種からベランダでプランター栽培】
  9. ラムズイヤーの育て方【プランターで株分けや水やり・肥料も】

    ラムズイヤーの育て方【プランターで株分けや水やり・肥料も】

    ふわふわとした綿毛と淡い青緑色が魅力のラムズイヤー。「羊の耳」という名前通りの柔らかい銀色の綿毛に覆…

    ラムズイヤーの育て方【プランターで株分けや水やり・肥料も】
アフィリエイト広告を利用しています

プランター栽培の最近の記事

  1. 落花生育て方
  2. ベランダ菜園
  3. 育ちやすい野菜
  4. ベランダ菜園の道具
  5. ベランダ菜園の道具
  6. かぼちゃ育て方
  7. ニンニク育て方
  8. 育ちやすい野菜
  9. じゃがいも育て方
  10. ピーマン育て方
PAGE TOP